【モスクワ=黒川信雄】世耕弘成経済産業相は11~12日にロシア・モスクワを訪問し、安倍晋三首相が昨年5月に露南部ソチでの日露首脳会談で提示した8項目の経済協力案の具体化に向け、シュワロフ第1副首相やマントゥロフ産業貿易相、ノバク・エネルギー相などと相次ぎ会談した。
12日にモスクワ市内で会見した世耕氏は、協力計画をめぐりロシアの国民が特にメリットを感じやすいとされる医療分野での協力を迅速に進める方針で露側と一致したと述べ、近く日本の専門家を訪露させる方針を明らかにした。またエネルギー分野では、炭化水素、原子力、省エネ・再生可能エネルギーの3分野で協力を促進するとし、3月末をめどに作業計画をまとめる方針でノバク氏と合意した。
世耕氏は、昨年末の日露首脳会談からの早い段階での訪露にもかかわらず、露側の多くの閣僚らとの会談が実現したことで「8項目を実現させたいというロシア側の強い意欲を感じた」「日本側も本気であることが伝わったと思う」と訪露の感触を語った。
一方、焦点の北方領土の共同開発をめぐっては、2日間の会談などで日露双方から言及がなかったと述べ、「まずどのような枠組みでやるかということを決めることが重要であり、それは外相、総理を中心に決められることだろう」と指摘した。