今月行われた日露首脳会談で両政府がまとめた8項目の経済協力プランでは、シベリア鉄道の北海道延伸やサハリン(樺太)からのガスパイプライン敷設など、ロシア側の事前提案で注目された大型案件がことごとく見送りとなった。多額の資金確保や安全保障上の懸念など当初からハードルが高かったのは事実だが、“ゼロ回答”に終わった北方領土交渉の停滞で雰囲気が急速にしらけた側面もあり、“夢のプロジェクト”は夢のままで終わった。
「ロシア側はすごい前のめりだ」。経済協力の立案が盛り上がった今秋、貿易筋は興奮気味に語った。
5月にロシア南部ソチで開かれた首脳会談で、安倍晋三首相はプーチン大統領に北方領土問題を未来志向で解決する「新しいアプローチ」を提案。これに基づき経済協力を領土交渉と切り離した結果、ロシア側は俄然(がぜん)乗り気になった。
この機会に日本からどれだけ搾り取れるかが勝負。ロシア側がそう考えたかどうかは定かではないが、経済発展省が50項目、極東発展省が18項目の延べ68項目(重複あり)を提案したのを皮切りに、プロジェクト数はみるみる膨張した。