15日に行われる日露首脳会談は、北方領土問題の議論にも中国の影が見え隠れする展開となりそうだ。ロシアは中国への最新鋭武器の輸出を再開するなど、政治と軍事の両面で中国との関係をいっそう密接にしつつある。中国抑止にロシアを利用したい日本側の思惑を見越し、ロシアが良好な中露関係を背景に強硬な対日姿勢を見せる構図が指摘されている。
ロシアは2000年代半ば以降、中国がロシア製武器をコピーする懸念などから、最新鋭武器の中国への売却を控えてきた。しかし、長距離戦闘機スホイ35を24機輸出する契約の実行が年内にも始まるほか、来年前半からは最新の対空ミサイルシステム「S400」の輸出も行われる。
露当局者によると、ロシアの武器輸出契約の総額520億ドル(約5兆9800億円)のうち、中国向けは80億ドルと約15%を占める。露軍事専門家のカシン氏は「中国が長距離ミサイル搭載型のS400を山東半島に配備した場合、尖閣諸島を防空域とすることが理論上可能だ」と指摘する。
ロシアの軍需産業はソ連崩壊後の1990年代、財政難による国内需要の急減を中国やインド向けの大量輸出で穴埋めした。その後はしかし、中国が武器の国内開発に軸足を移し、ロシアでも技術流出への警戒心が高まったため、最新鋭武器の大型輸出は2004年頃から停止状態となった。