政府・与党が配偶者控除の見直しについて、減税対象になる妻の年収要件を現行の103万円以下から「150万円以下」か「130万円以下」に引き上げる2案を軸に検討していることが16日、分かった。パートの主婦が働く余地を増やし、女性の就労拡大を後押しする。税収減を避けるために導入する夫への所得制限の水準と合わせ、具体額を詰める。
配偶者控除は年収103万円以下の妻がいる世帯を対象に、夫の所得から38万円を差し引く仕組み。妻の年収要件を緩和すると、対象世帯が増えて減税規模が拡大するため、世帯主となる夫の所得には制限を設け、上限を超える世帯は対象外とする方針だ。
政府は年収要件を150万円以下に拡大する場合、夫の年収から給与所得控除などを差し引いた合計所得が900万円(年収は1120万円)を超える世帯は対象外とする必要があるとした。130万円以下の場合は夫の所得1100万円(同1320万円)程度までが適用対象になると試算したもようだ。
政府関係者は「2案をたたき台に年収要件を130万~150万円の間で調整するのが有力だ」と語る。年収要件が社会保険料の支払いが発生する130万円を下回る水準にとどまれば、引き続き配偶者控除が女性の就労を阻む壁となる。一方、150万円を超える水準にすると、夫の所得制限が厳しくなり、増税世帯の強い反発も予想されるためだ。
自民党税制調査会は16日、非公式の幹部会を開き配偶者控除の見直し案について協議。妻の年収要件103万円を引き上げる案が現実的との方針を確認した。高所得者に有利な所得控除方式の見直しなど所得税全体の改革についても「4~5年で抜本的に変えていく」(税調幹部)との方向性を議論した。