政府税制調査会は9日、所得税改革について議論し、配偶者控除の見直しに関し、103万円以下としている配偶者の年収要件の引き上げ案を提言に入れる方針を決めた。税収が減らないよう「税収中立の堅持」を掲げ、所得の高い一部世帯を控除適用から除外するなど所得制限の方向性も示す。14日に開く総会で正式に提言をまとめ、安倍晋三首相に提出する。
政府税調は、パート主婦らが控除を受ける目的に年収103万円以下に就労を抑える問題には、年収要件の引き上げが効果があると判断。配偶者控除の廃止や、配偶者の年収を問わずに適用する「夫婦控除」への転換など、これまで示してきた3案も提言に盛り込み、年末の与党税調の議論のたたき台にする。
中里実会長は記者会見で、配偶者控除について「中立的な税制を構築する観点から見直す必要があるとの意見で、具体的な制度案などの議論を深めることができた」と述べた。
政府税調は企業の税逃れ防止策も提言する。事業実体のない海外のペーパー会社の所得について、親会社と合算し、日本の税率を課す仕組みをつくることなどを盛り込む。