自民党税制調査会は26日、配偶者控除の見直しを柱とする所得税改革についての勉強会を開いた。12月にまとめる平成29年度税制改正大綱の決定に向け、配偶者控除の適用を受ける妻の年収要件を103万円以下からどこまで引き上げるかや、対象を絞るために導入する世帯主の所得制限の線引きを議論する。衆院解散・総選挙が取り沙汰される中、負担増の世帯が出る見直しには慎重な声もある。(万福博之)
勉強会の冒頭、自民党税調の宮沢洋一会長は「今年の税調はかなりの難題がある」とあいさつした。
配偶者控除の見直しは当初、妻の収入を問わずに適用する「夫婦控除」への転換が有力だった。だが、大幅な税収減が伴い、それを補うには中所得層までを負担増とする必要があるため転換を断念した。今後は妻の年収要件を、現在の103万円以下から150万円以下を軸に引き上げる方向で議論を進める見通しだ。
だが、妻の年収が130万円(一部の条件を満たすと106万円)を超えると健康保険料や年金保険料の負担が発生する。勉強会に出席した議員からは女性の就労調整は「社会保険料の方が問題だ」との声も上がった。一方、専業主婦が家事や育児、地域の活動を支えていることを踏まえ「配偶者控除はやはり大事だ」という意見も出た。
自民税調の勉強会は、税制改正の本格的な検討作業を11月20日前後に始まるのに先立ち、幅広い議員に論点などを共有してもらうのが狙い。今週から週1回のペースで開く予定だ。