虚言癖ある為政者を見事に演じきった中国首相
この点、裁定をめぐる中国の李克強首相の演技力は“風格”さえ漂わせ、冒頭紹介した外務省報道官を、はるかに上回る。先月も国際舞台で、虚言癖ある為政者を見事に演じきっていた。舞台はモンゴルの首都ウランバートルで開かれたアジア欧州会議(ASEM)。名優・李克強は訴えた。
「中国は国際秩序と国際法の守護者であり、地域の平和安定の推進者だ」
「国際法の曲解と二重基準に反対する。地域で合意された規則を順守すべきだ」
ス、スゴ過ぎる…。商業・工業の世界での「盗作」だけが中国のお家芸ではなく、外交・安全保障分野での「倒錯」もすさまじい。演劇の世界では、倒錯した人物の演技は最も難しいとされる。参加国の代表は一瞬、別の国か国際機関の中国批判だと勘違いして、深くうなずいてしまったことだろう。
ペンにイス…。中国の閣僚が駆使する小道具
卓越した演技には「小道具」が必要不可欠。ペンがもたらす演出なども効果的だ。カナダ訪問中(6月)だった中国の王毅外相は中加外相による共同会見の席上、地元メディアの女性記者が、中国内の苛烈な人権問題をただすと…