米中、席巻の恐れ
ドローンなど無人機に関する技術で日本は欧米と中国に後れを取っているのが実情で、このことが日本が焦るもう一つの理由となっている。
米家電協会(CEA)によると、商用ドローンの世界市場は20年までに10億ドル(約1240億円)と現在の約12倍に拡大する見通し。25年に8兆円の巨大市場に成長するとの試算もあり、今後、激しい開発競争が繰り広げられることは確実だ。経産省はドローンなどロボット関連の規制緩和で二の足を踏めば、この巨大市場を米中に席巻されかねないという危機感が強い。
米アマゾン・ドット・コムや米グーグルは長距離を飛行する宅配用ドローンを開発し、実証実験を始めるなど先端を走る。
一方、低価格品で攻勢をかけるのは中国企業。官邸屋上に不時着した機種も中国の大手ドローン製造ベンチャー、DJIの人気機種「ファントム」だった。価格は数万~約20万円で、すでに世界では100万台以上、日本でも5万台は売れており、小型のドローン市場で世界シェアの7割程度を押さえているとされる。官邸での騒動が販売に水を差したかと思いきや、結果はその逆。同社商品の認知度は高まり、販売も好調という。