■産経新聞編集委員・芳賀由明
ハチがブーンと飛んでる様子に似ていることから英語の雄バチの意味の「ドローン」と呼ばれるマルチコプター型飛行物体が、何やら騒々しい。とりわけ、首相官邸の屋上に不時着して以来、政府も慌てて法的措置の検討に入り、メディアも一斉に規制と活用のバランス論を説き始めた。
米ホワイトハウスの敷地にドローンが墜落したのは今年1月。その時からドローンによるテロ活動の脅威が浮上していたはずだが、日本はいかにものんびりしていた。官邸は警備を怠っていなかったというが、“ホワイトハウス事件”の直後に、ドローンによるテロを想定した万全の対策をなぜ取らなかったのか。いつ飛来したかも特定できないまま、たまたま屋上に上った警備員が発見した、では脳天気のそしりを免れまい。危機管理の司令塔であるはずの首相官邸がテロに無防備だった事態はまさに「日本として恥ずかしい」(二階俊博自民党総務会長)。意図的に飛来するとすれば、夜間を狙うのは当然だし、赤外線テレビカメラでも、場合によっては小出力レーダーでも、装備すべきではなかったか。
遅きに失したとはいえ、政府や関係官庁は一定の規制をかけようと検討を始めた。操縦の免許制や購入者の登録制、目視範囲の飛行に制限など米国で検討されている規制を参考に今国会で制度化する見通しだ。