総務省が、「ドローン」と呼ばれる小型の無人飛行機の操作向けに周波数を割り当てる方針を固めたことが9日、分かった。農薬散布や危険な災害現場での情報収集など企業の活用ニーズが高まり始めていることに対応。利用周波数を定めることで、国内メーカーの技術開発を促すと同時に、混信などのトラブル解消や違法電波の取り締まり強化につなげる狙いだ。
周波数割り当ては、12日開催予定の情報通信審議会の分科会に諮問し、平成27年度末に取りまとめる答申を踏まえて、必要な制度改正を行う方針。
具体的には、現在、無線LAN(Wi-Fi)で使用されている2・4ギガ(ギガは10億)ヘルツ帯と5ギガヘルツ帯の隣接周波数をそれぞれ拡大し、無人飛行機用の新たな周波数帯域を確保して混信を避ける方法などを想定。割り当てた周波数帯域では必要に応じて出力制限の緩和も検討する。
Wi-Fiと隣接して周波数を拡大すれば、Wi-Fi用機器の部品などが無人飛行機にも応用できるため開発・製造コストが削減できると判断した。
ドローンは英語の雄バチの意味で、小型無人飛行機全般を指す。現在は操作性や安定性の観点から複数のプロペラがあるマルチコプター型が主流という。
総務省によると、国内で使われている数万円台のドローンは6万台程度と推定され、東日本大震災以降、災害時の調査用や、警備・測量用などでの活用を目指す企業が増えている。
ラジコン用周波数やWi-Fi用の小電力無線を利用する場合は免許不要だが、市場の拡大に伴い、増幅して違法な電波を発信するケースや、混信して墜落したり、通信サービスに影響を及ぼすトラブルが増える懸念も指摘されていた。
総務省は、ロボット利用の推進を目指す政府方針に沿って、無人飛行機の普及に十分な周波数を確保する一方、安全な利用環境の整備に向け、輸入品の買い取り調査を実施して違法な高出力電波を取り締まる。問題のある販売店などには、是正を指示できるよう勧告発動の条件緩和も検討する。