4月22日午前10時27分、首相官邸の屋上に無人飛行機「UAV(Uninhabited Aerial Vehicle、いわゆるドローン=drone)」が落ちているのを官邸職員が見つけた。飛ぶときに蜜蜂の雄のような音がするのが、ドローンという名の起源である。ただし、ドローンが無人暗殺機を意味することが多いので、この言葉を嫌い、UAVを用いる専門家も多い。
官邸屋上で発見されたドローンは、中国製という。直径約50センチで、カメラが付いており、搭載されていたプラスチック製の容器には「RADIOACTIVE(放射性の)」と記され、放射性物質のセシウム134、137が検出された。セシウムは容器の周囲に付着していたようで、中に入っている液体が何であるかは発表されていない。犯行声明は出ていないが、政治的事件と見るのが妥当だ。社会を恐怖に陥れることを意図するテロリストは、あえて犯行声明を出さない。また、いたずら気分の模倣犯が出て、事態を複雑にすることも懸念される。
産経新聞はこの問題を重視し、4月24日の「主張」でこう述べた。<国家の中枢に、やすやすと達した「侵入者」からは放射性物質が検出され、それを示す文字があった。国民の不安をあおる、極めて悪質な意図もうかがえる。