資金の流出入がほぼ一貫して連動するのが、景気動向である。鉄道貨物輸送量は李克強首相が信頼する景気指標の一つである。モノが国内総生産(GDP)の約5割を占める中国では景気実体は物流に反映しやすい。すると、最近の中国経済はGDPの実質伸び率7%台どころではなく、マイナス成長に陥っていることがわかる。輸入量、電力消費など他の停滞ぶりとも一致する。
はっきりしているのは、鉄道貨物輸送量の落ち込みに連動するように資金が流出することだ。景気の低迷は今後も続く。となると、資金の流出はまだまだ増えるし、加速しかねない。
資金流出を止めるためには利上げし、元相場を切り上げるしかないが、経済が沈む。逆に元を切り下げると、資本逃避が加速する。元安では対外債務の重圧がぐっと高まり、信用不安になろう。
対外債務の大半には党幹部が関与し、多くは不動産を担保にしている。不動産市場崩落で日米欧の貸し手は不良債権を抱える。「爆買い」が示すのはバブル化したチャイナマネーであり、資本流出は、そのマネー・バブルの崩壊を暗示する。その時、ブランド物が売れなくなる程度ならよい。株式を含め世界の市場全体が大きく揺れるだろう。