もっとも、不況下で延期した投資にようやく踏み切ったケースもみられる。北海道函館市の地場産業である水産加工「布目」は4月、8年前に購入した敷地に新工場を完成させた。
好転しない経営環境から先送りしてきたが、「資材などの建設コストが高騰し、さらに延期すると逆に建設費が高くなる」(堀内雅専務)ため、低金利のこの時期に決断したという。
「つなぎ役」の公共投資が景気を支えている間に、景気回復の好循環が働き始めるかが地域経済にも重要となる。みずほ総研の矢野和彦経済調査部長は、「02年から73カ月続いた景気拡大期も初期は内需が牽引したが、やがて輸出依存に転化して勢いを失った」と指摘。結局は内需拡大につながる成長戦略の成否が、景気回復の実力を占うことになると話している。(塩原永久)