マレーシア政府は、砂糖に対する補助金の廃止を10月に正式決定した。廃止による費用の削減額は約4億5000万リンギット(約141億円)となる見込みで、財務省は全額を病院建設や看護師の雇用など医療分野に充てるとし、国民に理解を求めた。現地英字紙スターなどが報じた。
同国は各種の補助金が財政悪化の一因ともなっており、政府は9月に燃料補助金を1リットル当たり0.2リンギット(政府試算では年換算で33億リンギット)削減するなど見直しを急いでいる。ナジブ首相は「世界経済の流れについていくためには補助金の合理化が必要だ」として、削減は不可避との見解を示す。
政府が発表した2014年度(14年1~12月)予算案の補助金総額は394億リンギットとなっており、13年度予算の467億リンギットから15.6%減少した。同国は財政赤字の国内総生産(GDP)比を12年度の4.5%から13年度は4%、14年度には3.5%にする目標を設定しており、達成するためには一層の削減努力が必要とみられている。
しかし、削減に対する国民の反発は根強く、財務省幹部は「国民に重荷となる急激な削減は行わない」と述べ、新たな削減は経済情勢を見ながら慎重に検討する考えを示した。補助金をめぐるせめぎ合いは今後も避けられそうにない情勢だ。(シンガポール支局)