西太平洋に“回帰”
幾多の試練を乗り越え鍛えられた強さを持つ米原子力空母。現在、米軍では原子力空母1隻にイージス艦を始め多くの艦艇を組織し「空母打撃群」として運用している。
横須賀を拠点とする米第七艦隊は、原子力空母ロナルド・レーガンをはじめ指揮艦ブルーリッジや、アンティータムなどイージス艦11隻、原子力潜水艦3隻などで構成される。ステニスはこの一大艦隊に加えられた格好で、南シナ海への展開について米国防総省は「南シナ海を含め、西太平洋全域で艦船を定期的に運用している」と強調。その後米韓合同軍事演習にも参加し、存在感を示した。
かつて国内に米国海空軍の基地を置いていたフィリピンでは、南シナ海で岩礁を埋め立て軍事基地とするなど実効支配を強める中国に対抗するため米軍の“回帰”を切望し、3月18日の米比戦略対話でクラーク空軍基地への米軍回帰が決まった。今後スービック湾の海軍基地についても同様の措置が取られるとみられる。
同湾の西約190キロメートルには、中国がフィリピンから奪ったスカボロー礁がある。米紙「ウオールストリートジャーナル」などによると、同礁周辺で中国が測量を実施していることなどから、新たな埋め立てと軍事基地化が懸念されている。西太平洋、なかでもスービック湾への米軍回帰は、中国に対する大きな圧力となるのは間違いない。