旭化成や横浜市によると、旭化成建材は施工主の三井住友建設の孫請けとしてくい打ちを施工。担当者の説明では、データの印刷を忘れたり、印刷した紙が雨でぬれて読めなくなったりするミスが相次ぎ、4棟で構成するマンションで使われたくい計473本のうち3棟の38本で取得に失敗した。
そのため担当者は他のくいのデータを使い回したり加筆したりして、虚偽のデータを三井住友建設に報告していた。
傾いている1棟では10本のデータ取得に失敗。うち8本で強固な地盤に届かなかったり、打つ深さが不足したりした。旭化成建材は他の3棟のくいも調べる。
住民によると、今月9日から実施している住民説明会で、事業主の三井不動産レジデンシャル側は建て替えも選択肢と説明している。
≪住民「裏切られた気持ち」≫
三井不動産グループが販売した横浜市都筑区のマンション傾斜問題は、全国のマンションなど最大3000棟を調査する事態に発展した。くい打ちをした旭化成子会社の作業のずさんさが明らかとなり、住民の憤りは強い。基礎工事で虚偽データが使われたケースで、行政がどう不正をチェックするかという課題が浮かび上がる。旭化成が成長分野に位置付ける住宅事業にも大きな打撃を与えそうだ。