例えば、全軍統率機構=中央軍事委員会の副主席、徐才厚・上将(1943~2015年)が14年、汚職など規律違反で逮捕→党籍を剥奪された。徐上将は全軍人の人事を牛耳る《総政治部主任》経験者で10年もの間、軍に睨みを利かせ、江氏の庇護下、江氏を支えた人物だ。徐上将の逮捕は後ろ盾を担っていた中将から、見返りに賄賂を受け取った容疑だが、収賄・公金横領罪で起訴された中将の捜査着手~徐上将逮捕報道まで1年半もかかった。逮捕容疑などどうでも良い中国にしては長過ぎる。この間、習氏が軍高官らと「軍の統制権や利権保証」に関する落としどころを探っていたとする観測は少なくない。実際、徐上将逮捕報道の2カ月前、党中央軍事委員会機関紙・解放軍報は七大軍区や海空軍、第二砲兵(戦略ミサイル軍)の司令官ら18人の署名入り「忠誠文」を掲載した。
掌握の指標は民営化改革
習氏が軍を掌握しているか否かの指標の一つは、現在習氏が積極的に進める《国有企業の民営化改革》だと思量する。特的分野の利権を独占する国有企業にあって、とりわけ軍が操る企業は厄介だ。ちなみにいえば、軍需品貿易を独占する某国有企業は、ダミー会社を通じて日本の先端技術を詐取。医薬品を扱う某国有企業は日本企業を子会社化し、化学兵器製造に向けた汎用技術を盗み取っている。