“日本の軍手”産業空洞化直撃 安価な中国製席巻、国産担い手の高齢化も悩み (1/3ページ)

2015.9.3 11:02

【早坂礼子の経済ウオッチング】ロングセラーの秘密(2)

 軍手は隠れたロングセラー商品だ。メリヤス編みで左右の別がない白い手袋は安価で丈夫で伸縮性に富み、庭仕事やキャンプなどに欠かせない。

 スタートは官需

 作業用手袋を扱うおたふく手袋(大阪府)の曽根良雄貿易部長は「もとは旧陸軍の下士官用手袋として支給された“軍用手袋”でした」と話す。明治39年に輸入されたスイス製「小横(こよこ)」編み機で製造したのが最初で、手の平と指5本を別々に横一面に編んでから綴り合わせていたという。

 その後、指の部分を連続して編む「五指連(ごしれん)編み機」が開発されたものの、編み機の動力は手動で、パーツをつなぎ合わせる仕上げの作業も内職に頼っていたから戦後になっても生産量は限られていた。

 「手袋は左右一組で1双と数えるんですが12双(1ダース)を加工するのに2時間ほどかかった。ダースあたりの加工賃は当時約15円でお年寄りや子どものいい小遣い稼ぎでした」と実父も軍手の製造を営んでいた曽根さんは振り返る。

「全自動シームレス編み機」を開発すると軍手の需給は一変した

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