事実関係は判然とせぬが、報道に触れて傍証を思い出した。天津港は中国がパキスタンなど友好国へ兵器を輸出・供与する拠点で、戦闘車輌など大量の兵器や弾薬の集積地だ。その一部が、習派幹部らの爆殺用に用意されていた可能性は高い。しかも、爆殺成功には高い専門性が不可欠。場所柄、諜報機関の工作員ではなく、軍人か退役軍人が関与していたのではないか。そうであるのなら、習氏はいまだ人民解放軍を掌握していないことを裏付ける。
軍との手打ちに成功か
初代国家主席・毛沢東(1893~1976年)や事実上の最高指導者・●(=登におおざと)小平(とう・しょうへい、1904~97年)らの世代は革命戦争を指導した軍歴を有していて、毛や●(=登におおざと)の指揮・統率体制に軍は納得した。しかし、江氏以降は習氏も含め最高指導者には軍歴がない。党と軍の統制(シビリアン・コントロール)関係が不安定であり、党政治局の会議で軍事問題を協議することはほとんどない。共産党は《党の軍に対する絶対領導運動強化》を掲げたものの、かえって党による軍統御の脆弱性を物語る。
ただ、小欄は結論を出しかねている。習氏が軍との手打ちに成功した? 幾つかの兆候も認められるためだ。