隣国カナダは、さらに強い切迫感を抱える。10月19日の総選挙では、TPPを推進する与党保守党の劣勢が伝えられる。主要3政党のうち、他の2党はTPPに反対の立場で、今回、合意しなければ、交渉離脱の可能性すら出てくる。
来年夏に参院選を控える日本の安倍政権も、農家票の反発を考えると、一日も早く合意して国会での関連法案の審議を終わらせたい考えだ。
慎重姿勢のNZ
これに待ったをかけるのがニュージーランドだ。グローサー貿易相は「(自動車など)他の分野で進展があったのに、乳製品は不十分だ。交渉に進展がなければ閣僚が集まる意味がない」と述べ、会合欠席の可能性までちらつかせ、ぎりぎりまで乳製品の輸出拡大で譲歩を迫る。
新薬のデータ保護期間延長でニュージーランドと共同歩調を取ってきたオーストラリア。ロブ貿易・投資相は「残った問題は解決不能ではない」との立場だが、9月に党内政変で就任したターンブル首相の新政権は、中国との間で既に署名した自由貿易協定(FTA)の年内発効を目指す構えを鮮明にする。国内の目は、中国とのFTAに集まっており、TPPが「漂流する」との悲観的な見方も出始めている。