集団的自衛権の行使を限定的に容認する安全保障関連法案の審議が参院でも始まった。安倍晋三首相にとって悩みの種は、論客ぞろいの野党議員ばかりでない。論戦の場となる参院平和安全法制特別委員会の自民党委員20人の陣容に、不安材料が尽きないからだ。
審議遅れは支持率に影響
トラブルは法案の審議入り前から起こった。委員の山本一太(いちた)前沖縄北方担当相は、参院本会議で特別委設置の議決前の7月23日、ブログに「自民党のトップバッターは山本一太」と書き込んだ。山本氏は「与えられた時間は75分。NHKの生中継が入る」とも記した。与野党間の正式協議が始まる前の勇み足に、民主党の榛葉賀津也(しんば・かづや)参院国対委員長は「緊張感の欠如。(大相撲名古屋場所で緩慢さが目立った)逸ノ城(いちのじょう)以上に脇が甘い」と批判。結局山本氏は、28日の実質審議初日の質問者から外れた。
与党筆頭理事となった「ヒゲ隊長」こと佐藤正久元防衛政務官も、「交渉事に弱い面があり、不安材料の1人」(自民党幹部)だ。
佐藤氏は2004年からの自衛隊イラク派遣で初代派遣部隊長を務めるなど、安全保障に関する知識は豊富。28日の特別委の質疑でも、集団的自衛権行使が必要になる具体例をあげながら、法案の必要性を分かりやすく聞き出した。