もちろん、その先には安倍首相の悲願である憲法改正がある。ただ、そこにたどり着くために新たに得た総裁任期の3年間は、党内は「安倍1強」ながらまだまだ綱渡りが続きそうだ。
本当の正念場
北朝鮮による拉致問題は膠着(こうちゃく)状態が続き、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題はなかなか県側の理解が得られない。
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の行方はまだ見通せず、肝心の景気回復も中国経済の失速と無関係ではいられない。日中・日韓関係も改善方向にはあるもののまだ不安定だ。
安倍首相にとって幸いなのは、戦後70年の安倍首相談話発表後の各種世論調査で内閣支持率が上昇傾向にあることだ。「支持率が5ポイント程度下がる」(政府高官)と懸念した原発再稼働もほとんど影響しなかった。
国民の支持をいかにつなぎとめながら、憲法改正をはじめ日本を取り戻すための政策を実現していくか。安倍首相にとり、これからの3年間が本当の正念場だ。(阿比留瑠比/SANKEI EXPRESS)