実際、看板メニューの麻婆豆腐などに使う山椒も京都・丹波産の丹波山椒で「ちりめん山椒に代表されるように京都人は山椒好きですから、そこを地産地消にしました」と料理長。春口に収穫する青山椒はしょうゆや砂糖で煮付けにし、秋口に収穫する赤山椒は種をとって乾燥させ粉末に。いずれも1年分、まとめて仕込むという。
アワビのうま味広がる担々麺
まずはそんな丹波山椒特有の深みある辛さが堪能できる「麻婆豆腐」をいただいた。口の中がしびれるような山椒の辛さを売りにした麻婆豆腐はあまたあるが、この麻婆豆腐の辛さはストレートにガツンと来る感じではなく、確かに京都らしい上品な辛さがじわじわ迫り来る感じ。実際、舌の肥えた日本の有名スターがこの辛さにいたく感動し、絶賛したほどだ。
続いて登場した「蝦夷鮑(えぞあわび)と黄ニラの炒め物」は、太陽に当てずに栽培した黄ニラと旬の蝦夷アワビをあっさりとした塩味で味付けしているが「普通のニラよりも軟らかくてうま味も強い」(呂料理長)という黄ニラと、高級感ある味わいと上品な食感の蝦夷アワビとのコンビネーションが見事。素材の持つおいしさが最良の形で堪能できる逸品に仕上げている。