「ぼく自身、食べることが大好きなので、自分が満足できるだけの量を提供しています。革新的な技法を用いる実験的なフュージョンのフレンチではなく、素材をこねくり回さず、生かした南仏に根付いた伝統的な料理を心がけています」と迎シェフ。
甘さと塩気、一皿に
新たな料理を考えるときは、取引業者の人に相談を持ちかけることも多く、食材探しの一助をお願いしているそうだ。
そうしてできあがった一皿が「トウモロコシの冷たいスープ イタリア産クレモナサラミとプロヴァンスのトリュフと」。サマートリュフがふんだんに散りばめられたスープはコーンの甘さと、つぶつぶが口に残る。サラミを口にすると強い塩気が感じられ、甘さとしょっぱさが口の中で調和をかもしだす。
「食感も味の一つでしょう。このスープに合う食感と肉の味わいとの余韻に浸れるサラミを探していたんです。自分ひとりの力では、この一皿は完成しませんでした」