≪焦点は早くも党四役人事≫
9月の自民党総裁選で安倍晋三首相(党総裁)の無投票再選の流れが加速していることから、早くも党内の関心は10月にも行われる党役員人事に移り始めている。首相と「戦略的互恵関係」にある二階(にかい)敏博総務会長や、財政政策で官邸とすきま風が生まれた稲田朋美政調会長の処遇は焦点の一つ。党四役と首相との距離感を官邸での面会時間などから探った。
埼玉県秩父市で9日に開かれた派閥研修会で安倍首相支持を宣言した二階氏。安全保障政策などでは首相と水と油の関係だが、首相の無投票再選を訴えるなど両氏の関係は健在だ。
安全保障関連法案が国会に提出された5月から今月9日までの間、首相との首相官邸での面会時間をみてみると、二階氏は6回、計2時間55分に及ぶ。
訪中直前の5月19日には、首相から中国の習近平国家主席への親書を預かる算段もつけた。二階氏は韓国ともパイプがあり、首相は冷え込んでいる日中・日韓関係の改善に向けた「特命大使」として期待を寄せる。
とはいえ、二階氏は権力への嗅覚が鋭い老練政治家。首相周辺は「いつ寝首をかかれるか分からない」と警戒心も捨てきれない。二階氏との戦略的互恵関係を続けるかどうかは判断の難しいところだ。