そんな中、1999(平成11)年、婿養子だった現当主の十四世が社長に就任、ブランディングを一から見直し再建に着手した。十四世は、「タオルより手拭いの方がファッションとしても芸術としても使いやすい。タオルがメーンになってしまった家業を何とかもう一度手拭いを中心とした家業に変えようと思いました」と振り返る。
倉庫に眠っていた明治から昭和初期に製造していた手拭いに着目し、その復刻を制作したのだ。版はすでに存在せず現物しか残っていなかったため、生地や染色、工程を見直し、今までにないアート感覚あふれた復刻手拭いを世に送り出した。復刻以外にも、新柄をはじめ、柔らかな風合いのガーゼ手拭いや、手拭い生地を使用したかばんなど、さまざまな展開を図った。
そして今回、新たな手拭いの価値を見いだそうと手拭いをアートへと高める試みを行った。「現在は漬物や和菓子などさまざまな土産物があふれているが、手拭いは、京都のアートとしてもお土産としても昔から定番だった」という。さらに、「日本の歴史ある手拭いを海外に紹介したい」と目を輝かせた。
スパイラルガーデンで開催された「てぬぐいアート展」の作品の一部が、7月7日(火)まで、京都高島屋1階のゆとりうむ特設会場などで展示されます。(田中幸美(さちみ)、写真も/SANKEI EXPRESS)