真っ白な階段を駆け上がると、まるでギリシャのアクロポリスのような光景が広がった。辺り一面、大理石でできた白亜の庭だ。
ここは、瀬戸内海に浮かぶ広島県尾道市の生口島(いくちじま)。「瀬戸内しまなみ海道」の尾道側から3つ目の島で、国産レモンの発祥地であり現在も日本一の生産高を誇る。
そんなレモンの島に、大理石で作られた美しい庭園「未来心(みらいしん)の丘」がある。
この庭園は、浄土真宗本願寺派の寺院「耕三寺(こうさんじ)」の敷地内にあり、耕三寺の芸術支援の一環として、イタリアで活躍する広島県世羅町出身の環境彫刻家、杭谷一東(くえたに・いっとう)さん(73)に依頼して2000年に完成した。
庭園は広さ5000平方メートル、高低差は25メートル。白大理石の世界的産地として知られるイタリア・カッラーラから3000トンの大理石をコンテナ船で運び、1988年から12年かけて作り上げたという。