天井からタペストリーのような白い反物が下がっている。よく見ると、ところどころに祇園祭の鉾や歌舞伎のくま取りをした犬などの絵柄が見える。
京都で14代続く手拭い専門店「永楽屋細辻伊兵衛商店」が6月下旬、東京・南青山のスパイラルガーデンで開催した「十四世・細辻伊兵衛てぬぐいアート展」で披露された作品だ。
これは基本的な反物の長さと同じ12.5メートルの長尺手拭いを作り、その中に3つの異なる柄を染めたアート作品。横に目をやると、もみじをテーマにしたやはり12.5メートルの長い手拭いが。5月の青もみじから季節の移ろいとともに色が変わり、最後は秋の紅葉となるもみじの色のグラデーションを表現した「春秋」。もみじに染め上げた後に縮み加工を施した手拭いで、浴衣としても利用できるという。
さらに一面の黒地にグレーの天に昇る龍が染められた「昇龍」や、作品の中では最大の14メートルの長さを誇る「長刀鉾(なぎなたぼこ)」など所狭しと大型作品が並べられた。昇龍は、型友禅で染め上げ、非常に重厚感があり一見手拭いとは思えない作品だ。