SANKEI EXPRESS連載「日本遊行 美の逍遥」でおなじみの俳優で写真家の井浦新(いうら・あらた)さん(40)には、2年にわたって撮り続けたテーマがある。京都市左京区にある世界遺産「賀茂御祖(かもみおや)神社(下鴨神社)」だ。4月27日に行われた「第三十四回式年遷宮」を最後に、井浦さんは下鴨神社の撮影に一つの区切りをつけた。6月には式年遷宮奉祝事業の一環として、写真展「御生(みあれ、Miare)」を開催する。これまで撮りためた神事をはじめ、下鴨の自然や鎮守の森である「糺(ただす)の森」などの写真から自身が選んだ作品を神社の神服殿で披露する。井浦さんの最後の撮影に同行した。
式年遷宮は、21年に1度社殿を大規模に修復する神事。遷宮そのものの神事は数年かけて執り行われるが、一連の神事の中で最も重要とされるのが、4月27日に営まれた「遷座(せんざ)祭」(正遷宮(しょうせんぐう))。夜のとばりが下りた浄闇の中、神職ら約70人が御神体を乗せた輿(こし)を修復が終わった国宝の東西の両本殿に厳かに運んだ。