「やすらい花よ よーほい」
赤毛や黒毛のかぶり物をした鬼役の少年たちが太鼓や鉦(かね)を打ち鳴らして歌いながら、辻々をめぐってゆく。途中家々の前では鬼たちは輪になって髪を振り乱して踊った。
12日午後、京都市北区の今宮神社一帯で、「やすらい祭」という珍しい祭りが行われた。この祭りは、鞍馬(くらま)の火祭、太秦(うずまさ)の牛祭(現在休止)とともに京都三奇祭の一つに数えられる。
祭りには、桜の散るころはやるとされた疫病を鎮める願いが込められているという。長かった冬が終わり、一斉に花開く春。一方で花から飛び散る花粉は、人々に流行病をもたらす悪霊ともみなされた。やすらい祭は、疫病の蔓延(まんえん)を防ぐ「花鎮め」の祈りだ。起源は平安時代に遡(さかのぼ)るというから、1000年以上の歴史を持つ。また、京都の祭りのトップを切って行われる祭りであることから、この日(4月の第2日曜)が好天に恵まれるとその年の京都の祭りはすべて晴れると言い伝えられる。