≪大胆配置…俵屋宗達に重なる美意識≫
現代の琳派(りんぱ)との呼び声の高いキーヤン。しかし、本人は「琳派のつもりではやっていない」と、そっけない。
工芸界の中には、琳派の象徴である金を配した商品を量産し、ミュージアムショップなどで売ろうとする動きがあり、そんなビジネス優先の姿勢に辟易(へきえき)していたという。一緒にされたくないので「琳派といわれたくない」とさえ思ったこともあるそうだ。
そう言いながらも、一番好きな作家を聞かれれば、16世紀末から17世紀半ばにかけて活躍した琳派を代表する絵師、俵屋宗達(たわらやそうたつ)の名前を挙げる。国宝「風神雷神図屏風(ふうじんらいじんずびょうぶ)」(京都・建仁寺蔵)が有名だ。非常にのびのびと自由に表現するのが宗達の作風だが、キーヤンは色紙やすずり箱に絵を描いた作品に興味が湧くという。
時の為政者に保護され、お抱え絵師となっていた狩野派や土佐派などとは対照的に、宗達は町人に頼まれて扇子や小さな屏風に絵を描く町の絵師だった。そこも「カッコええなあと思う」。