≪伝統に培われた技を新しい発想に生かすと「ものづくり」の可能性が広がる≫
世界の塩の生産量の3分の2は岩塩だそうです。岩塩は遠い昔、地殻変動で陸地に閉じ込められた海水が長い年月をかけて結晶したもの。岩塩の資源がない日本では、昔から塩は海水から得られるものがほとんどでした。塩の専売制度が実施されていた時代は、その種類も多くはありませんでしたが、最近では「日本の塩100選」もあるほど、豊富な種類の塩が店頭に並んでいます。
その中から今回は、岩塩と同様、太古の時を経た海洋深層水から作られる塩を求め、鹿児島県与論島に玄保成さんを訪ねました。
青く澄み渡る海、美しいサンゴ礁は南の島の生態系を守り、隆起した岩礁が独特の景観を生み出している与論島。ゆっくりと流れていく時間の中で、岩礁のくぼみにたまった海水は日差しを浴び、濃度を増していきます。地元の人々は昔からその濃縮された海水を煮詰め、自家製みそやしょうゆをつくるように、自家製の塩を作っていました。