新プロジェクトの一角
しかし、話はこれだけでは終わらない。今まで書いてきただけでも情報量は莫大(ばくだい)なものにのぼる。にもかかわらず、本展で披露されているすべての試みさえ、来るべき開局10周年に当たる2020年(=東京オリンピックの年)に向けての、より壮大なプロジェクトの一角にすぎないのだ。
今回取り上げた20人は、宇川が新たに立ち上げた新プロジェクト「100 ジャパニーズ・コンテンポラリー・アーティスト」(日本の現代美術家100人)を扱った、最初の20人分のこけら落としに当たる。今後は渋谷のスタジオに戻り、残り80人分のプログラム作りを着々とこなしていくはずだ。しかも、最終的にこれらの記録には英語字幕が付けられ、世界中のアートシーンで共有しうる仕様になるのだという。来るべき東京オリンピックという歴史的な祭典を機に発し得る、もしかするとこれは日本のアート界から世界に向けての、最大のメッセージになるかもしれない。