【アートクルーズ】
今年の頭に結果が発表された公募展、第17回岡本太郎現代芸術賞で、みごと一席の「岡本太郎賞」に輝いた新鋭アーティスト・ユニット、キュンチョメ。受賞後、初の個展が新宿眼科画廊で開かれている。いずれも、この展示のための新作ばかりだ。発表に注いだ力の入りようがうかがえる。
人間の生命力、主題に
とはいえ、美術館と違って画廊の空間は限られている。が、これまでも穴蔵のようなスペースを縫うように展示してきたキュンチョメのこと。入ってすぐの受付からどんつきの事務所への入り口まで、狭い通路も駆使して全体を5つの展示室に区分け。見事にひとつの世界を構築している。
岡本太郎賞受賞作品でも、米が敷き詰められた床を土足で踏ませるなど、一見しては奇を衒(てら)った作風で知られるかれらだが、根底に流れているのは人間の生命力だ。今回の個展でも、全8つを数える作品のうち、東日本大震災の被災地を扱ったものが2点、富士の樹海を辿(たど)ったものが4つ、スカイダイビングで千葉の上空4000メートルからメンバー自身が降下する作品が2つと、いずれも人間の極限状態を主題に据えて制作されている。