サイトマップ RSS

命をめぐるギリギリのせめぎあい キュンチョメ個展「なにかにつながっている」 椹木野衣 (4/5ページ)

2014.7.21 14:00

キュンチョメ個展「なにかにつながっている」__「なにかにつながっている」(2014年)=2014年7月15日、東京都新宿区(野村成次撮影)

キュンチョメ個展「なにかにつながっている」__「なにかにつながっている」(2014年)=2014年7月15日、東京都新宿区(野村成次撮影)【拡大】

  • キュンチョメ個展「なにかにつながっている」__「_______」(2014年)=2014年7月15日、東京都新宿区(野村成次撮影)
  • キュンチョメ個展「なにかにつながっている」__「ノック」(2014年)=2014年7月15日、東京都新宿区(野村成次撮影)
  • キュンチョメ個展「なにかにつながっている」__「ノック」(2014年)=2014年7月15日、東京都新宿区(野村成次撮影)
  • キュンチョメ個展「なにかにつながっている」__「鯉のぼり男」(2014年)=2014年7月15日、東京都新宿区(野村成次撮影)
  • キュンチョメ個展「無限にずれていく時間」__「鯉のぼり男」(2014年)=2014年7月15日、東京都新宿区(野村成次撮影)

 そしてやがて、「まーだだよ!」という返事の代わりに「なにかにつながっていた」自分たちを見いだすのだ。その顛末(てんまつ)については、3日分の日記の形式をとった「なにかとつながった日」と、樹海で拾った日本酒の紙パックを使って作られたはがき状の「    」であらわされている。とりわけ後者では、伝えられたかもしれない無言の空白として、新たに誰かのもとに届けようとする。行為と現実、加害と被害、命あるものと命なきものとが「もういいかい?」の言葉だけを頼りに結び合い、ほつれあい、切り離される。これは命をめぐるギリギリのせめぎあいだ。

 これらを見たあとで、私たちは出口に辿り着く。そこには、被災地で記録され、もう誰もいなくなった各家のドアが投影されている。耳を澄ますと、ノックの音が聞こえる。かれらが、そこにいたはずの人たちに向けて、「もういいかい?」と同じように一軒ずつ、声を掛けているのだ。私たちはその布を開けて、ようやく外の世界に出る。そして、この個展に入ったときとは少しだけ…しかしどこか決定的に違って見える現実と再会するのだ。(多摩美術大学教授 椹木野衣(さわらぎ・のい)/SANKEI EXPRESS

ガイド:キュンチョメ個展「なにかにつながっている」

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

毎日25分からのオンライン英会話。スカイプを使った1対1のレッスンが月5980円です。《体験無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

自分らしく人生を仕上げる終活情報を提供。お墓のご相談には「産経ソナエ終活センター」が親身に対応します。

ページ先頭へ