【アートクルーズ】
日本文化が19世紀以降の欧米美術に影響を与えたジャポニスム。それを米国ボストン美術館の収蔵品によって検証する「華麗なるジャポニスム展」が、6月28日から世田谷美術館(東京都世田谷区)で開かれる。ジャポニスムを象徴する印象派画家クロード・モネ(1840~1926年)の「ラ・ジャポネーズ」が1年の修復後、初公開されて、新事実が紹介されるほか、アメリカなどヨーロッパ以外の国々への影響にもスポットが当てられる。
ラ・ジャポネーズは1876年、モネが妻のカミーユをモデルに描いた大作(縦2メートル31、横1メートル42)。日本の着物(打ち掛け)を着て、うちわ、扇子、ござに囲まれたカミーユが、金髪のかつらをかぶって、ほほ笑んでいる。カミーユの髪は本来、褐色だが、モネが色の対比を考えて金髪にさせた。題名通り、日本趣味の品々に演出された象徴的な絵だ。
モネの名作、修復と新発見
今回の修復では、モネが印象主義で光の効果を生み出すために、最新の化学顔料を使っていたことや、X写真によって、うちわの位置やカミーユの手元を何度も描き直していることが分かった。うちわは着物のすその曲線と呼応し、渦巻くようにカミーユを囲んで、動きを与える効果を出している。