【アートクルーズ】
≪「恋!咲く!マーガレット~『マイルノビッチ』と『君に届け』のファッション~」≫
ほんの数年前までは、マンガのイラスト入りのTシャツを着るのは、ちょっとためらってしまう空気があった。ところが、2000年代より、「UNIQLO」や「BEAMS」を代表格とし、各ブランドがマンガTシャツを手がけたことから、そうした空気はすっかりなくなった。ファッション雑誌でも、たびたびマンガ特集が組まれ、11年には、世界的によく知られているハイブランド「GUCCI」が、マンガ家の荒木飛呂彦とコラボしたことも記憶に新しい。近年、マンガはファッション界における一つのトレンドだと言っても良いだろう。こうした背景には、オタク文化が世界で「クール」なものとして受け入れられ、モードの世界で注目された影響は大きい。「胸部の誇張」や「猫耳」など、マンガ的な記号が、ハイファッションで取り入れられた。
こうしたモード界の流れが一般にも浸透し、今日のようなブームに至った。しかし、ここまで広がったのは、もともと、マンガのファッションを自らの生活に取り入れる行為が長らく読者の中にあったからこそである。特に少女マンガにおいては、黎明(れいめい)期よりファッションとの関わりが深い。