【アートクルーズ】
東日本大震災から3年。震災後にアーティストたちが被災地とどう関わり、何を伝えてきたのかを振り返る特集「地震のあとで-東北を思うIII」が、6月1日まで東京国立近代美術館で開かれている。大震災で私たちは何を失い、何を取り戻さなければならないのか。風化が懸念される中、アートを見ながらもう一度考え直してみたい。
悲しみ、絶望、怒り
展示室では、いくつかの映像が同時に流されている。
ある映像では、船や建物のがれきが広がる荒涼とした風景の真ん中で、約10人の若者が小さな円陣を組む。叫んでいる言葉は、「向かっていきまっしょい」「負けねゾ!」。さらには「彼女つくるぞー」「漁師かっこいい」など本音や願望とも思える叫びが延々と続く。
震災直後の2011年5月初旬、福島県相馬市。行動派のアーティストグループ「Chim↑Pom」(チンポム)が、地元の若者と一緒に制作した「気合い100連発」。津波被害で何もかも失われた究極の環境の中で、悲しみや絶望感、やり場のない怒りを払いのけようとする若者の心境が、痛いほど伝わってくる。