震災でいうと、2つ目の部屋で展示された「無限にずれていく時間」は、より直接的だ。無人の砂浜となった被災地の海岸を、かれらは金属探知機を使い、そこに埋もれた誰かの記憶/物質を探り当てる。そして反応があるたびに掘り起こし、代わりに花を植えるのだ。
東北では現在でも行方の知れぬ者が数多い。遺体の探索はいまなお続いている。キュンチョメは犠牲者が身につけていたかもしれない金属を探し、その場所に一つ一つ鎮魂の痕跡を残していく。
誰でも、身体のどこかに金属を装着しているはずだ。探し出された金属の断片は遺体ではないが、しかしたしかに現世を生きた誰かの命の証しなのだ。
「もういいかい?」
今回の展示の中心をなし、個展のタイトルにもなっている表題作「なにかにつながっている」は、さらに強烈だ。かれらは、「自殺の名所」として知られる富士の樹海に足を踏み入れる。そして、森の奥へと繋がるヒモを偶然見つけたのをきっかけに、未知の相手との「かくれんぼ」を始める。答えの返ってこない「もーいいかい?」を、樹にもたれ何度も繰り返しながら、かれらは奥へ奥へと入っていく。