すべてのプログラムを主導するのは、これまたアーティストの宇川直宏だ。原型となるのは、宇川が2010年に渋谷に開局した「ドミューン」と称する極小のスタジオである。が、最小と言っても現在までの総視聴者はすでに4500万人を突破。加えて機材も最新の装備を備え、画像・音質とも、いま望みうる最高の水準だ。ここを拠点に、月曜から金曜までのウイークデーを使って連日、宇川はありとあらゆる分野にまたがるさまざまな文化プログラムを配信してきた。つまり、ここはインターネット中継局でもあり、ライブ会場でもあり、収録スタジオでもあり、DJがダンスミュージックを流す世界最小のクラブでもあるのだ。しかも、企画・撮影・配信・記録もすべてひとりでこなす超人ぶりである。今回の企画「ドミューン・ユニヴァーシティ・オブ・ジ・アーツ」(いわば、芸術大学ドミューン)は、その設備をスタジオごと、秋葉原にほど近い複合文化施設「3331アーツ千代田」のメーンフロアに引っ越し、広いギャラリーを活用して本格的な展示まで加えた、いわばその出張・拡張版なのである。