日本では、虫が媒介する感染症への関心はそれほど高くはなかったが、26年にヒトスジシマカが媒介するデング熱の国内感染が約70年ぶりに確認され、その後、拡大したことで感染対策に目が向けられるようになった。さらに、昨年以降は中南米からの帰国者で、妊婦が感染すると胎児に小頭症を引き起こす恐れのあるジカ熱を発症する人が出ている。危機意識の高まりから、虫よけをめぐる意識も変化している。
川崎市では、保育園にハーブで手作りした虫よけの使用を勧めてきたが、今年から市販のディート入りの虫よけ剤も「使用可」とした。担当者は「感染症対策には、効果がしっかり確認されている虫よけ剤を使う必要がある」と強調する。
とびひにも注意
「ディートの毒性は極めて低い」。感染症の専門家で、小児科医でもある川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長はこう説明する。