花粉症が引き金となって、生の果物など、花粉と似た原因物質(アレルゲン)を含む食品にもアレルギー症状が出る「花粉・食物アレルギー症候群」が増えている。通常は口や喉の軽い症状で済むため大問題になってこなかったが、豆乳やモヤシなど一部の食品で重症化する例が近年明らかになり、注目されている。一般的な検査では見つけにくいのも特徴で、詳しい医師は「気になる症状があったら専門医の受診を」と勧めている。
意外な診断
60代のA子さんは、中華料理店で焼きそばを食べた後に、口の中にかゆみや「イガイガ」を感じ、顔が腫れ上がるなどのアレルギー症状が出た。
10年以上前にビワを食べてアレルギーを起こして以来、サクランボ、リンゴ、モモと、食べられない果物が増えていったため「果物アレルギーなんだ」と思って生の果物は避けていたが、全く違う食べ物で症状が出たことに「何か深刻な病気では」と不安になり、横浜市立大病院を訪ねた。
診察した猪又直子准教授(皮膚科)の見立ては「原因は花粉症です」と意外なものだった。