「妻が反対するので内定を辞退します」。夫の転職が妻の鶴の一声でご破算になる「嫁ブロック」という言葉が浸透しつつある。終身雇用にこだわらない価値観の多様化や、2020年東京五輪開催に伴う建設業界の求人増などで転職市場が急拡大する中、夫婦間でトラブルに発展するケースも出てきているという。(玉崎栄次)
大手からベンチャー
「嫁ブロック」はもともと、企業の採用担当者が使っていた業界用語。妻の反対で採用が失敗に終わることを指していたが、ここ数年の転職市場の拡大により、一般にも知られるようになってきた。
人材派遣大手、インテリジェンス(東京都千代田区)によると、転職希望者数は平成22年1月から今年11月までの間に約3倍に増加。もっとも大きな要因は、東京五輪に向け建築業界が求人を大幅に増やしていることだ。これまでは経験者の中途採用が多かったが、人手不足のため設計や企画などの分野で未経験者にも門戸を開いた。
また、市場拡大が続くIT業界では、技術に見合う報酬を求めて転職を繰り返すケースが珍しくない。