マダニが媒介するウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」に、富士フイルム傘下の富山化学工業(東京)が開発したインフルエンザ治療薬「アビガン」が有効であることをマウスの実験で確かめたと、厚生労働省研究班が22日までに米微生物学会の専門誌に発表した。
SFTSは西日本で患者が多く6~30%が死亡するが、治療法がない。研究班の西條政幸・国立感染症研究所ウイルス第1部長は「アビガンはインフル薬として安全性や副作用がすでに明らかになっている。SFTSへの適応も、近い将来に実現されることを期待したい」としている。
研究班は実験用のマウスにSFTSのウイルスを感染させ、直後から5日間にわたりアビガンを投与。その結果、治療をしないマウスはほとんどが死亡。抗ウイルス薬のリバビリンを投与されたマウスは約4割が死んだ。アビガンを与えたマウスは全て生存した。症状が進んだ5日目の投与でも、約半数が生存した。