自宅に飲み忘れなどの薬が大量にたまる「残薬」。多くの種類の薬を処方されて適切に服用できない人だけでなく、自己判断で薬を中断する人もいる。医療費が無駄になるほか、きちんと服用しないことで症状が悪化し、さらに薬が増えるという悪循環もあり、各地で対策が進められている。(加納裕子)
薬局などで配布
奈良県大和郡山市では今年9月、薬局などで「節薬バッグ」の配布を始めた。自宅にあるすべての薬を入れてきてもらい、まだ使えるかどうかを判断。新たに処方された薬と同じものや、効能が重なるものがあれば、薬剤師が医師に連絡して処方量を減らす。
同市薬剤師会理事の仲谷尚起さん(33)は「高齢者が多種類の薬を90日分など出されると、ほぼ確実に残ります」。バッグには薬剤師会だけでなく市や医師会、歯科医師会の名が記載され、連携して取り組む。介護関係者が市内の70歳の女性の自宅から約160日分の薬を発見してバッグに入れ、薬局に届けるなど効果が出ているという。