メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を予防・抑制する大きな理由は、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患から身を守ることにある。特に心筋梗塞はその臓器の特殊性から、予兆を把握するのが難しく、室内外の気温の差が激しいこの季節、発症が増える。“がんより怖い”ともいわれる突然死を防ぐため、専門家は運動負荷心電図によるチェックを呼びかけている。(山本雅人)
助かっても…
心筋梗塞は、心臓を取り巻いて酸素や栄養を送り込む冠動脈が詰まることで、その先の心筋が壊死(えし)する病気。かつて日本人は、心筋梗塞よりも脳梗塞になりやすいといわれていたが、食の欧米化もあり、大阪や秋田での疫学調査などで心筋梗塞が増加傾向にあることが示されている。
その怖さについて、東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理機能学の東丸貴信教授は「ごく初期は自覚症状がない一方、症状が出たときには、梗塞を起こした部分の血管は正常時に比べ10%以下の狭さになっており、かなり危険な状態といえる」と話す。さらに、「もし助かっても、心臓の一部の機能が失われることから再発のリスクがある。また、無理な動きができなくなるなど、日常生活で大きな制約を受ける」。