ストレスチェックとは、「最近1カ月のあなたの状態についてうかがいます。最もあてはまるものに○をつけてください」などのストレスに関する質問に従業員が答え、それを集計・分析し、本人のストレスがどのような状態にあるのかを調べる検査である。
従業員数50人未満の事業所では当分の間、努力義務となるが、企業は常時雇用する従業員に対して、1年に1回、医師や保健師などが行うストレスチェックを実施。検査の結果、一定の要件に該当する労働者から申し出があった場合、医師による面接指導を実施する、面接指導の結果に基づいて医師の意見を聞き、必要な措置を講じる、などの義務を負うことになる。
◆笑いや趣味に没頭、頭空白に
こうした職場の取り組みに加え、ビジネスマン個人がストレスといかに向き合うかも重要だ。免疫学の権威である順天堂大学医学部の奥村康特任教授は、リンパ球の2割を占め、がん細胞やウイルス感染細胞を攻撃する「ナチュラルキラー(NK)細胞」にストレスが与える影響についてこう語る。
「NK細胞が活発に動いている『NK活性』が高い状態では免疫力が高く、『NK活性』が強い人は風邪やインフルエンザ、がんなどの病気になりにくいことがわかっています。ところが『NK活性』は加齢とともに弱くなる傾向があり、精神・神経による影響も受けやすいのです」
つまり、ストレスでNK細胞の活動が弱まり、体の免疫が低下すれば、風邪やインフルエンザ、がんをはじめとするさまざまな病気にかかりやすくなる。奥村氏によれば、ストレスには、たとえば上司に叱られたときに「なにくそ」と心の中で立ち向かう前向きなものと、「自分は駄目だ」と内向きになるパッシブ(受動的)なものの2種類がある。NK細胞はとくに後者のストレスに弱い。