心や体の健康に大きな影響を及ぼすストレスが社会的な問題になっている。仕事のストレスが原因で、鬱病を発症するケースが増えており、約9割の事業所がメンタルヘルス問題は企業パフォーマンスにマイナスの影響を与えると認識している。
12月1日からは、改正労働安全衛生法に基づく「ストレスチェック制度」が従業員数50人以上の事業所で義務化される。企業が常時雇用する従業員のメンタルケアに積極的に関与することが求められる一方で、ビジネスマン個人のストレスマネジメントも重要性を増している。ビジネスマンが日々さらされているストレスに負けないための心構えを専門家に聞いた。
◆来月からチェック制度義務化
鬱病および慢性化した頭痛などの治療を手がける新宿ストレスクリニックの渡邊真也医師は、「最近、仕事のストレスが原因で鬱に苦しみ、来院される方が非常に増えています。当院の場合、鬱病と診断される人のうち10人中7、8人が仕事に関する何らかの理由を挙げています」と話す。
渡邊氏によれば「最初は2、3日会社を休むといった段階から、徐々に欠勤が増えて仕事に行けなくなり、休職に至る」のが、いわゆる「新型鬱病」の典型的なパターン。周囲からは鬱病に見えない人が、突然発症し、会社に来ることができなくなるケースも多い。
仕事に関するストレスでいえば、鬱病の原因は昇進、仕事内容の変化、職場の人間関係などさまざまだ。
「たとえば、エリートに多いのですが、今までは上司の言うことを聞いていればよかったのに、昇進して自分が部下にあれこれ指示しなければならない立場になったため、鬱病になることがあります。また、職場の人間関係が良ければ、仕事が多少きつくても頑張れますが、逆に人間関係が悪いと働くこと自体がつらくなり、ストレスが増大します」と渡邊氏はいう。