年齢を重ねることで起きる老化現象の中で、目のピント調整能力に表れる老眼。普段の体調不良の原因になることもあり、早めの対策を心掛けたい。(日野稚子)
遠見と近見
「私自身、35歳のときから遠近両用眼鏡を使い始め、ひどい肩凝りが解消された。だから、皆さんに勧めている」と話すのは、梶田眼科(東京都港区)の梶田雅義院長。子供の頃から視力は1・5。自分自身でも自慢の目だった。「よく見える目が良い目だと思っていたが、自分を疲れさせる原因が目にあった」
物をはっきり見るため、カメラのレンズに該当する水晶体の厚みを毛様体筋が調整し、ピントを合わせている。老眼は加齢によって水晶体が硬くなり、調整しにくくなるなどして起きる。新聞や本などの細かい文字が見えにくいといった症状で自覚する人が多い。
健康診断や運転免許の更新などで行う一般的な視力検査は「遠見(えんけん)視力」を計測し、5メートル先の物の見え方を調べる。一方、目から30センチほどの近くを見る力は「近見(きんけん)視力」で、これは通常は計測しない。ピント調整能力の低下は近見視力に表れ、普段の視力検査の結果と直接、関連しない。