感染症をきっかけに全身の臓器が急激に傷害を受ける「敗血症」。3人に1人が亡くなるといわれ、脳卒中や心筋梗塞より死亡率が高いとされる。だが、早期発見と早期治療で死亡率は減らすことができる。(油原聡子)
急速に悪化
東京都江戸川区の会社員、鈴木良樹さん(57)=仮名=は平成17年12月、胆石の検査のために入院中、重症急性膵(すい)炎を発症し、容体が急変。翌日には体も動かせず、意識もなくなった。医師は「多臓器不全を起こし、敗血症になっている。重篤な状態です」と告げた。妻の美恵子さん(58)=同=は「敗血症も多臓器不全も聞いたことがなかった。このまま死んでしまうと思った」。
検査から約1週間後、治療設備の整った病院に転院し、一命を取り留めた。しかし、意識回復まで約1カ月。傷害を受けた臓器の治療や手術、リハビリで、入院生活は延べ2年に及んだ。